活動報告:南アフリカ(文:山田肖子)2018.02.21 山田肖子 アフリカ
地域:アフリカ
国:南アフリカ
アフリカ大陸きっての産業国である南アフリカは、強固な産業基盤を持ち、ナイジェリアに次ぐ2番目に大きな経済を誇る国である。しかし、近年では国内外の様々な問題に直面し、経済成長率は減速している。
本研究の対象である繊維衣服分野は、輸出により加速が進む分野のひとつである。しかしながら、南アフリカは、アメリカやヨーロッパへ向けた主要な輸出国であったにも関わらず、今やモーリシャスやマダガスカルのような競合輸出国により、市場から急激に追いやられている。国内の衣料市場はアジア、特に中国からの安価な製品に占められている。このような状況の下、南アフリカ政府は、同産業の回復を図ろうと、「被服・繊維製品競争強化プログラム(CTCP)」を実施した。国内で極めて大きな労働力を要する産業であるだけに、国内市場向け製品の国内製造と労働力の確保は、経済的にだけでなく社会的にも政治的にも重要な問題である。
産業技能開発について、南アフリカは1998年初頭から「技能開発法」を成立させ、訓練と教育制度に係る基盤改革に向けて多大な尽力を行ってきた。このような政府の取組みは、市民のジェンダー、人種、社会経済的背景などに関わらず、技術向上と教育の重要さを意味するものであると言える。
SKYプロジェクトは、南アフリカ資格機構、ダーバン技術大学、被服製造産業向け国立取引評議会と連携し、被服産業と訓練を受ける訓練生との間にどのような技能のミスマッチが起こっているかを検証し、同国のニーズに応えるべく研究に取り組んでいる。2018年のプロジェクト初期段階では、クワズル-ナタル洲(KwaZulu-Natal)において約300社の工場の労働者を対象に技能アセスメントを実施する予定である。